Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
いつも思うことだけど、彼からの電話に出ると、つい甘い声を出してしまう。
『想乃。週末振袖を見に行く件だけど、土曜日でいいかな?』
「……あ、はい」
『時間は? 十時でいい?』
「はい」
返事をしながら立ち上がり、キッチンのそばに掛けたカレンダーに目を留めた。
『色や柄の希望があれば先方に伝えるけど。どうする? 全体的に見てから決める?』
「はい。着物を着るのは初めてなので、特に希望もなくて……実際に見てから決めます」
『わかった』
彼がふっと笑う気配が伝わり、胸がきゅんと締め付けられる。
珍しい。こういう予定を尋ねる用件は、いつもならメッセージで済ませるのに。
「あの、じゃあ、また週末に」
彼は忙しいだろうと思い、電話を切り上げようとすると——『今忙しい?』。逆に尋ねられた。時計に目を走らせる。
「いえ……あと一時間ぐらいしたら、黎奈さんと約束があるので出かけるんですけど。それまでは暇です」
『姉さんと? もしかしてまたエステ?』
「はい」
電話の向こうで、慧弥がわざとらしくため息をついた。
『ずるいなぁ、なんで姉さんばっかり』
本気かどうかもわからない愚痴をこぼしている。
『さっき、想乃は“また週末に”って言ったけど。基本的に夜は会うからね?』
「……えっ!」
『想乃。週末振袖を見に行く件だけど、土曜日でいいかな?』
「……あ、はい」
『時間は? 十時でいい?』
「はい」
返事をしながら立ち上がり、キッチンのそばに掛けたカレンダーに目を留めた。
『色や柄の希望があれば先方に伝えるけど。どうする? 全体的に見てから決める?』
「はい。着物を着るのは初めてなので、特に希望もなくて……実際に見てから決めます」
『わかった』
彼がふっと笑う気配が伝わり、胸がきゅんと締め付けられる。
珍しい。こういう予定を尋ねる用件は、いつもならメッセージで済ませるのに。
「あの、じゃあ、また週末に」
彼は忙しいだろうと思い、電話を切り上げようとすると——『今忙しい?』。逆に尋ねられた。時計に目を走らせる。
「いえ……あと一時間ぐらいしたら、黎奈さんと約束があるので出かけるんですけど。それまでは暇です」
『姉さんと? もしかしてまたエステ?』
「はい」
電話の向こうで、慧弥がわざとらしくため息をついた。
『ずるいなぁ、なんで姉さんばっかり』
本気かどうかもわからない愚痴をこぼしている。
『さっき、想乃は“また週末に”って言ったけど。基本的に夜は会うからね?』
「……えっ!」