Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 思わず変な声が出た。

『なに?』

 彼が訝しみ、「いえ」と言って首を振る。

 てっきり会う頻度を増やすのはパーティーまでだと思っていた。彼は仕事で忙しいから、デートは週末だけかと——。

『なにか……都合悪かった?』

 想乃は曖昧に笑い、大人しく白状することにした。再びソファに腰を下ろす。

「あの。昨日は会わなかったし……パーティーも終わったので、会うのは週末だけかなって勝手に思い込んでました」
『……そうなんだ?』

 少しの間慧弥が黙り込む。

『昨日は仕事が立て込んでて、帰りが遅くなったから。ごめんね、婚約者のふりと言っても、基本的には会うスタンスでいてもらえると助かる』
「……わかりました」

 無意識に沈んだ声が出てしまう。

 甘い夢から覚めるようだった。彼との会話が偽装婚約の話になると、一気に現実へ引き戻される。

『もちろん、クリスマスは空けておいてね?』

 恋人同士なら当然のイベント。彼の言葉にはそんなニュアンスがにじんでいた。

 夜に会う時間を確認し『じゃあ、また』と言って電話を切った。

「クリスマスか」

 呟きながら、キッチンへ向かう。カレンダーに指を這わせ、曜日を確認する。今年は週のど真ん中で平日だ。
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