Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 メールを読んだ瞬間、頬に一雫の涙がこぼれ落ちた。想乃は即座にメールを打った。思ったままをそのまま文章にする。

【よく、意味がわかりません。母は生きています。以前、私のストーカーが病院に忍び込んだというニュースがありましたが、何事もなくストーカーは逮捕されました】
【母は今音楽を使った療法を受けていて……それを取り入れてくれたのが慧弥さんでした】
【郷は元気に登校しています。以前はいじめ問題もあったようですが、解消されています】
【慧弥さんが事前に私について調べていて、郷と母を助けてくれたからです】

 送信してまもなく、返事が届いた。

【並樹が……調べた?】
【そもそも前から不思議に思っていたのですが、並樹との交際日が早すぎるように感じます。私のときは3月半ばでした】
【なので、並樹からのアプローチがあったときには、母はもうこの世には……。母を手にかけたのはあなたの言うストーカーでした】
【郷もいじめに苦しみ、すでに不登校でした】

 想乃はスマホを見つめ、しばし固まっていた。Xが言いたいことをようやく理解する。過去と未来で、起こる事象が大幅に変化している。
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