Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 あまりにも気になる内容だったので、送信して、しばらく返事を待つことにした。

 もしかして、三十年後の未来では母はもう生きていないのだろうか? 三十年後、母の年齢は七十五歳だ。

 今行っている療法がうまくいかないかもしれないなんて……そんなの、知りたくもない。

 じわりと涙が浮かんで視界が滲んだ。ぎゅっと手に握りしめたスマホがメールの通知音を鳴らした。

 知るのが怖かったが、不安を抱えたままにはできず、メールを開いた。

【ええ、過去の世界という意味です。ただ、状況がずいぶん違っている気がしたので、あえて“そちらの世界”と書きました】
【あなたが以前に送ってくれたメールの一文……“弟のことや母のことにも恩を感じています”がどうしても気になったので、確認させていただきました。おかげではっきりしました】

「……なにが?」

 想乃は不安から眉を寄せた。どう返事をすればいいか戸惑っていると、再びメールが届いた。

【そちらの世界では母は生きているのですね。母の運命を変えたのは並樹ですか?】
【あなたに近づき信用を得るために、並樹はほかに何をしたのでしょう? 弟の郷はどうですか? 不登校になっていませんか?】
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