Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「懲りないねぇ、まだやってるの?」

 いつからそこに停まっていたのか。運転席を降りるスーツ姿の男を見て、少年たちは唖然と息を呑み込んだ。「さ、さっきの営業マン……」、「なんで……」と目を泳がせている。

「いつまでもそんなだと女にモテないぞー」

 男は依然としてスマホを構えたまま、彼らのそばへと歩み寄る。

「なっ、なんでさっきの営業マンが」
「おまえ、オレたちのことつけて来たのかよ!?」
「おやおや。目上の人に随分な口の聞き方だなぁ」
「なに撮ってんだよっ、やめろよ!」
「やめませーん!」

 男はケラケラと笑い、スマホのカメラを少年ひとりひとりに向けてそれぞれの顔を映した。

「区立八木沢中学校、一年一組、田辺翔平、水戸昌也、平川徹二。きみたちの人生はこれをもって著しく損なわれるであろう」
「……っな、な、」
「なんでオレらの名前知ってるんだよ!」
「営業マンに分からないことは無いんだ、残念だったねぇ」

 そう言ってにやりと笑うと、男は動画を停止させ、スマホを元の内ポケットに仕舞った。

「そもそもスタンガンの携帯は、正当な理由が認められない場合、軽犯罪法に接触する。ましてや嫌がる者を無理やり抑えつけて使用する行為は暴行罪に問われる。よって、ここで撮影した動画を警察署に持ち込めばきみたちは明日から立派な犯罪者だ」
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