Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 想乃は玄関を開けるなり、階段を駆け上がり、自室のベッドに飛び込んだ。枕に顔を埋め、足をバタバタさせながら人知れず悶えた。

 *

 翌日、想乃は警察からの呼び出しに応じ、改めて事情聴取を受けることになった。

 女性警官に案内され、無機質な廊下を歩く。通されたのは、長机と椅子が整然と並ぶ簡素な部屋。まるで会議室のような雰囲気で、ひんやりとした空気が漂っていた。大きな窓は白いカーテンで覆われ、外からの視線を遮っていた。

「前回お話ししていただいた内容をもとに、いくつか追加でお伺いします」
「……はい」
「浅倉さんは、犯人について『知らない人』、『全く面識のない人』と言っていましたが、間違いありませんか?」
「間違いありません」
「以前にどこかで会って忘れている、という可能性はありませんか?」
「ありません。本当に知らない人です」

 想乃は椅子に座りながら、腿の上で重ねた手をきゅっと握りしめた。

 女性は想乃の反応を冷静に観察し、供述調書にボールペンを走らせる。

「前回お話を伺った後に再調査を行ったのですが……その結果、“新たな証拠”が見つかりました。その内容について少し確認させてください」
「……はい」

 新たな証拠……? いったい何のことだろう?

 想乃は目を上げ、頼りなく眉を下げた。

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