Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 けれど、このトラブルを収めるのにいったい何日かかる? 一週間……いや、十日前後か?

 契約が難航したらその分滞在日数も延びる。

 慧弥はマウスをクリックし、新たに開いたブラウザを見つめた。指先に力が入った。

 今日の夕方には出国しないと間に合わない。

 二日後の予定は、想乃とのバレンタインデート——自分たちにとって特別な日になるはずだった。それなのに。

「……はぁ」。慧弥はデスクに肘をつき、うなだれる。ここにきて、まさかのドタキャンだ。

 慧弥は大きなため息をついた。乱暴にマウスをクリックし、画面を閉じる。

 このタイミングで、こんなトラブルが起きたのだから仕方ない。頭ではそうわかっている、わかっているけれど……。

 想うのは想乃のことだった。

 先日、彼女は事件に巻き込まれたばかりだ。このタイミングで日本を離れていいものか——。

 いや、いいはずがない。いいはずがないんだ、絶対に!

 犯人が逮捕されたとはいえ、事件の状況はあまりにも不自然だった。

 慧弥も想乃と同様に警察に呼ばれ、事情聴取に応じた。新証拠として提示された監視カメラの映像には、明確な悪意が映っていた。

 ——「慧弥くんの彼女なだけあって可愛いね」
 ——「今回の子は当たりだな」
 ——「確か、初めてだったよね?」
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