Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 ——『時期は断言できませんが、事件は必ず起こります。絶対に彼女を守ってください』——ミライはそう言った。

 想乃に会ったら、彼女の様子を窺いながら、事件の前に何をしていたのか、どういう経緯でホテルで目を覚ましたのかを聞き出すつもりだった。

 慧弥はデスクで頭を抱えたまま、またため息を吐き出した。

 仕事が片付くまで、十日かかると見越して、その間……どうやって想乃を守る?

 拓司にボディガードなんて頼めるはずがない……。姉さんも当てにならない。信用できる人間が少なすぎる。

 なら……どうする? 一緒に連れて行くか? いや、それはさすがにまずい、どう考えても現実的じゃない。

 早く、早く何か打開案を出さないと……。

 焦燥に駆られながらも、慧弥は一度デスクを離れた。大きく深呼吸をする。

 追い詰められたときほど、冷静に。

 日頃から、常に自分に言い聞かせている座右の銘だ。

 冷静に考えろ。離れている間も、想乃を確実に守れる方法を。

 眉間に手を当て、眼鏡のつるに触れた。パソコン用のそれを外す。

 ……“連れてくる”か?

 ふと妙案が閃いた。

 たとえばそう、離れている間……俺の部屋で匿う。退屈かもしれないけれど、外出をしないよう徹底させて、俺が戻るまで待っていてもらう……。
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