Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 不意に、慧弥がミライに尋ねた。ミライの息を呑む音が電話越しに伝わった。

 ——慧弥が放った言葉が、明らかにミライを揺さぶったからだ。

「そちらの世界では、想乃さんは何歳で亡くなったのですか?」

 この問いにミライの呼吸が乱れた。微かに混じる涙の気配に、想乃は不安を覚えた。

 沈黙が続いた。

「亡くなってるって、いったい?」

 想乃が弱々しく呟いた。わけがわからない。想乃の眉がかすかに寄る。胸がざわついた。

『……二十七歳、です』

 か細い声が、電話の向こうから響いた。

 想乃の全身が凍りつく。

 ——二十七歳。

 その言葉の重みが、じわじわと胸に広がる。

 自分が死んでいた。
 それを、未来の誰かが知っていた。

 なのに、自分は何も知らない。何の心当たりもない。七年後に亡くなるのか、それとももはやそんな未来には繋がらないのか、判断がつかない。

 ぞくり、と背筋が震えた。

 慧弥が静かに問いかける。

「ということは……ミライさんは当時、二十歳(はたち)?」
『……はい』

 電話越しの声は、か細く、それでも確かに認めていた。

 その瞬間——

 ふ、と微かに笑う気配がした。

 想乃は思わず隣を見た。慧弥だった。

 ……どうして笑ったの?

 理解が追いつかず、想乃の表情は揺れる。
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