Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 慧弥はグラスを傾け、アルコールを二、三口飲む。

「最初から、それが妙だと思っていた。過去への干渉に俺が関わっているなら、本来なら自らで行動するはず。それなのに、ミライを使い、あっちの俺は直接動いていない。……つまり、そうできない理由がある」

 一拍置き、慧弥は淡々と続ける。

「もしかすると、未来の俺は今、死にかけているのかもしれない」
「えぇっ!?」

 想乃は思わず頓狂な声を上げ、顔を蒼ざめさせた。そんな、怖い、と気持ちが表情に出ている。

「背後に気をつけろ……あの忠告は、まさにそれだと思うね。自分で言うのもなんだけど……未来の俺は、おそらく四面楚歌。敵だらけなんだろうね」

 ふっと、不敵に笑う慧弥。

「このことから考えて……世界線を分岐させた目的は、そのあたりにあると思う。だけど、まだ決定的な答えは見えてこない。死後の世界とか、スピリチュアルな分野についても調べる必要があるのかも……?」

 慧弥は独りごちるように呟く。

「とはいえ、科学的じゃないしなぁ……酔狂な発想を俺がするとも思えないし……」

 慧弥の独り言を聞いても、想乃はただただ首を傾げるばかりだった。彼が何を考えているのか、その半分も理解できない。

「とにかく。想乃はこれ以上、Xについて深く考えないほうがいい」
「……そう、ですよね。未来の郷も……そう言ってましたし」
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