男装して婚約者を演じていたらお兄様に目をつけられてしまいました
「新道先生の女性に対する接し方には、違和感があったので私がもっと注意すべきでした。ルココちゃんのせいでも、頼人さんのせいでもありません。このことで負い目を感じて欲しくはありません。示談金については、考えてもいませんでした」
「そうですか。では、新道家との示談については、当社の弁護士が代理で対応いたします」
「え?」
芹沢父は、周りの反応も無視して、言葉を止めることなく続けた。
「それと、今後は、本社ビルに入っているカフェで働いてください」
「何言ってるんですか?」
「頼人は黙っていなさい。白井さん、あなたに働いていただくのは、我が社の社員が、多く利用するカフェです。ぽっと出のあなたが、頼人の嫁として受け入れられることはないでしょう」
ただ、彼女役で来ているだけなのに、お嫁さんとは飛躍されたものだ。だが、大企業の息子ともなれば彼女イコール将来を考えた相手ということになるのかもしれない。
「ですが、社員に受けがいい人を頼人が選んだとすれば、誰も文句は言わないでしょう。シンデレラストーリーというんですか? まあ、私は興味がありませんが、多くの社員が頼人とのそういうストーリーを抱いているらしいので、社員でもなく、ただのカフェバイト店員のあなたが彼女達の夢を実現してみせてはいかがですか?」
チャンスを与えているような話をしているが、そんな甘い話ではない。多くの女性が頼人さんを狙っているという情報に、格下の相手が選ばれるというプライドの高い女性ならまず反感から始まる立場、そしてそんな彼女達にも認められる人間であり続けなければならないプレッシャーを乗り越えられるかという挑戦状だ。
「正直まだあなたのことを信じるまでには至りませんが、頼人が選び、ルココがここまで懐いているのであれば、騙されたと思って見守ることにしましょう」
芹沢父は言いたいことは言ったと言わんばかりに立ち上がり、扉に向かって歩き始めたが、扉まで後少しというところで立ち止まって振り返った。
「ああ、そうそう。既成事実で話を進めようとするのであれば、すぐに引き離します。順序は大切にしてくださいね。それと、ルココ。次の見合いについてだが、頼人と白井さんの話が落ち着くまでは延期とする。それまで勉学に励むように」
「はい!」
ルココちゃんの目が、輝いていた。
思いもよらない収穫。ルココちゃんの自由な時間が、私と頼人さんの偽りの関係によって保証されることになった。
ただ、問題は山積みだ。両思いであれば簡単そうに見える計画。だが、その本質は本人同士ではなく、周りに委ねるということ。単にいい顔して、いい人を演じていればいいだけではない。大企業に就職した戦士たちを唸らせるほどのいい人で負けたと言わせるほどの出来のいい女でいなければ認められない。
これを頼人さんに課すのではなく、私に課すとは、Serizawa World Groupの社長は一筋縄では行かない相手らしい。
「そうですか。では、新道家との示談については、当社の弁護士が代理で対応いたします」
「え?」
芹沢父は、周りの反応も無視して、言葉を止めることなく続けた。
「それと、今後は、本社ビルに入っているカフェで働いてください」
「何言ってるんですか?」
「頼人は黙っていなさい。白井さん、あなたに働いていただくのは、我が社の社員が、多く利用するカフェです。ぽっと出のあなたが、頼人の嫁として受け入れられることはないでしょう」
ただ、彼女役で来ているだけなのに、お嫁さんとは飛躍されたものだ。だが、大企業の息子ともなれば彼女イコール将来を考えた相手ということになるのかもしれない。
「ですが、社員に受けがいい人を頼人が選んだとすれば、誰も文句は言わないでしょう。シンデレラストーリーというんですか? まあ、私は興味がありませんが、多くの社員が頼人とのそういうストーリーを抱いているらしいので、社員でもなく、ただのカフェバイト店員のあなたが彼女達の夢を実現してみせてはいかがですか?」
チャンスを与えているような話をしているが、そんな甘い話ではない。多くの女性が頼人さんを狙っているという情報に、格下の相手が選ばれるというプライドの高い女性ならまず反感から始まる立場、そしてそんな彼女達にも認められる人間であり続けなければならないプレッシャーを乗り越えられるかという挑戦状だ。
「正直まだあなたのことを信じるまでには至りませんが、頼人が選び、ルココがここまで懐いているのであれば、騙されたと思って見守ることにしましょう」
芹沢父は言いたいことは言ったと言わんばかりに立ち上がり、扉に向かって歩き始めたが、扉まで後少しというところで立ち止まって振り返った。
「ああ、そうそう。既成事実で話を進めようとするのであれば、すぐに引き離します。順序は大切にしてくださいね。それと、ルココ。次の見合いについてだが、頼人と白井さんの話が落ち着くまでは延期とする。それまで勉学に励むように」
「はい!」
ルココちゃんの目が、輝いていた。
思いもよらない収穫。ルココちゃんの自由な時間が、私と頼人さんの偽りの関係によって保証されることになった。
ただ、問題は山積みだ。両思いであれば簡単そうに見える計画。だが、その本質は本人同士ではなく、周りに委ねるということ。単にいい顔して、いい人を演じていればいいだけではない。大企業に就職した戦士たちを唸らせるほどのいい人で負けたと言わせるほどの出来のいい女でいなければ認められない。
これを頼人さんに課すのではなく、私に課すとは、Serizawa World Groupの社長は一筋縄では行かない相手らしい。