灰を被らないシンデレラ
「で、シフトはどうなってんだ。市塚から渡されただろ」
「基本的には週4かな。サークルが無い日と黎に会いに行かない日には1日入る予定。ちょうど夏休みで講義も無いしね」
受けている講義の前期の試験が終わり、ようやくテストとレポート地獄から解放され憂は少し早めの夏休みに入っていた。
ショップが開かれる期間は約3ヶ月。
大学の休みは長いので丁度その期間はほぼ夏季休暇と被っている。
どうせ暇を持て余すだろうと思って空いている日は全て申請しておいた。
早番だったり遅番だったりはあるが、基本的には開店から閉店までの丸1日だ。
「ほぼ毎日予定あるって事かよ。お前には夫の為に日を空けておこうって思いやりは無いのか」
「柊さんだってほとんどお休み無いじゃん。家に1人でいるのって結構寂しいんだよ?」
そう言うと柊は一瞬動きを止めたが、前を向いたままゆっくりと手を伸ばし憂の手に重ねてきた。
「寂しかったのか」
直球でそう聞かれ、憂は先程した自分の発言がいかに恥ずかしいものだったかを今更理解した。
「あ、いや、その、」
「だから急にサークルやらバイトやら言い出したのか」
「え、っと…」