今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
そしてまたどこからかヒソヒソ私を同情する声が聞こえてくる。
「本当可哀想…」
「何あれ。嫌味?」
「紅羽さんに仕事まで辞めさせてさ。本当神経どうなってんの?」
いや、それは私が望んで辞めたのであって…
本当嫌だわー。
彼女たちに悪気はないのはわかるけど…
まぁ、今日だけよ。
今日だけ。
我慢、我慢。
その後も滞りなく式は進んで会場を後にする。
重たいブーケを持って。
ブーケってこんなに重いの?
すっかり暗くなった夜道をトボトボ歩いていると、ゴロゴロと雲行きが怪しくなってきた。
すると目の前にある小さなBARから黒のシャツを腕まくりして黒のパンツを履いて、腰から長めのエプロンを付けたバーテンダーが出てきて看板を出す所だった。
ヒールの靴擦れもかなり痛いしな。
入ろうかな。
でもまだかな?
なんて立ち止まって様子を見ていればバーテンダーはそのまま中にまた入ってしまった。