今夜だけのはずが極上の彼に愛されて

そしてまたどこからかヒソヒソ私を同情する声が聞こえてくる。

「本当可哀想…」

「何あれ。嫌味?」

「紅羽さんに仕事まで辞めさせてさ。本当神経どうなってんの?」

いや、それは私が望んで辞めたのであって…

本当嫌だわー。

彼女たちに悪気はないのはわかるけど…

まぁ、今日だけよ。
今日だけ。

我慢、我慢。

その後も滞りなく式は進んで会場を後にする。

重たいブーケを持って。

ブーケってこんなに重いの?

すっかり暗くなった夜道をトボトボ歩いていると、ゴロゴロと雲行きが怪しくなってきた。

すると目の前にある小さなBARから黒のシャツを腕まくりして黒のパンツを履いて、腰から長めのエプロンを付けたバーテンダーが出てきて看板を出す所だった。

ヒールの靴擦れもかなり痛いしな。
入ろうかな。

でもまだかな?

なんて立ち止まって様子を見ていればバーテンダーはそのまま中にまた入ってしまった。
< 12 / 288 >

この作品をシェア

pagetop