今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「緊張してる?」
「そりゃするでしょうよ!」
それもそのはず、今日は初めてMattの会社に行って正式に専属契約をする。
「大丈夫だよ。みんな紅羽ちゃんの実力は認めてる」
「そうなの?」
「当たり前だろ? 俺が選んだんだ。それにダニエルのお墨付きだ」
ダニエルさんは前任のパタンナー。
私に一番最初に依頼してきた人だ。
まさかその人の後任になるとは…
「でも緊張するよ。手と脚一緒に動いてたら教えてよ?」
「ははは。その時は担いであげるよ」
そんな話をしていれば大きなビルに到着した。
ここは一階から三階までがMattの店舗になっている。
そしてそこから上が日本の支店だ。
本社はやはりニューヨークにあるらしい。
ニューヨークにいなくていいのか聞けば、デザイナーなんてデザイン画さえ描ければどこにいたって会社は回ると笑っていた。
あとはパタンナーが側にいれば、と。