今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
つい見惚れてしまう。

「入んないの?」

するとクールそうな彼がフッと笑った。

うわ。
笑うと涙袋が出て急に優しい顔になるんだ。
声もイケボイスときた。

「雨降りそうよ? 入ったら?」

何も言わない私に彼はまた僅かに微笑む。

「あ…はい。ごめんなさい」

そして二人でBARに入る。

「いらっしゃいませ。マット? 連れ?」

中に入るなりさっきのバーテンダーに声をかけられた。

どうやらこの銀髪の彼はマットさんというらしい。
外人なのか?
確かに身長も相当高い。
185くらいありそう。

「いや」

マットさんはそうバーテンダーに言った。

「いらっしゃいませ。すみません。一緒に入ってきたからてっきり知り合いかと思って」

バーテンダーはそう言って気さくに話しかけてきた。

「入り口を塞いでしまっていて…」

そんな話をしながら持っていたブーケを傾けると底の方から水がボタボタっと溢れてしまって床を濡らしてしまう。

ドレスのスカートも濡れてしまった。

だから重たかったのか!?
< 14 / 288 >

この作品をシェア

pagetop