今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「ごめんなさい!」
「タオルこれ使って」
バーテンダーはカウンターからマットさんにタオルを渡して、マットさんが私に無言でタオルを渡した。
「あ、はい!」
私は受け取ると濡れた床を拭く。
「違う違う!」
バーテンダーが慌てた様子で声を上げた。
「え?」
「ドレス。濡れたの拭くようにだよ。タケルもう一枚ちょうだい」
バーテンダーはタケルさんというらしい。
そしてマットさんがタケルさんからタオルを受け取る。
「ちょっとごめんな」
マットさんは私からブーケを取り上げてそのままタケルさんに渡し、おもむろに私の前にしゃがむと濡れたドレスをポンポンと拭いてくれた。
「あ、すみません。私てっきり…」
「まさかお客さんに床なんて拭かせられないよ」
タケルさんがモップを持って来たところでマットさんも私から離れた。
「ありがとうございます」
「そのドレスどこの?」
マットさんが私に聞いてきた。