今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
そして親友のタケルに連絡する。

『…あい』

ばっちり寝ていたようだ。

「お前今日休みだよな?」

『んあ? ああ』

「俺の髪、切ってくれ」

『めんど』

「んじゃ一時間後いくから」

電話を切って俺はタケルの家に向かった。
タケルは俺より実は三歳年上で元美容師。

途中で買ったカラー剤を持って部屋に入る。

「いや俺、めんどって言わなかったか?」

「いいから。坊主でよろしく」

「ったくよ。朝っぱらからなんだよ」

そう言いながらもバリカンを持って躊躇なく俺の髪を刈っていく。

「こんなもんか?」

「さんきゅ」

そしてブリーチを2回して、シルバーのカラー剤をのせる。

「なぁ。なんかあったんか?」

タケルは気づいたらしい。

「伸びてきたから」

「それだけ?」

本当に嫌な事って口にもしたくなくなるらしい。
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