今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「…まぁ、はい、まだ初日ですから。引き継ぎ書もありがとうございます。一通り目を通したので、仕事に取り掛かりますね」
そう言って紅羽は無理矢理笑ったような顔をして奥の作業台に移動した。
少し会ってない間に何があったんだ?
あの男と何かあったとか?
いや、余計な事は考えるな。
「何かあったら何でも聞いてね。俺、今日は自分の部屋で仕事するから」
今日は会議があるから、事務作業をしなければならない。
「あ…はい…わかりました」
「それじゃ」
俺はとりあえずその場から離れた。
なんだろう…
すごい距離を感じる。
俺が連絡しなかったから?
いやそんなんで…
そしてその日は会議が終わった後も事務作業をして気づけば定時を過ぎていた。
やべ。
慌てて紅羽の部屋に向かうと、彼女は首にスケールをかけてまだ集中して作業をしていた。