今夜だけのはずが極上の彼に愛されて

なんとか重たい気持ちを奮い立たせ、アトリエの片付けも終わらせていよいよ明日からMattだ。

相変わらず誠からの連絡はない。

あの綺麗な女性と並んでホテルに入って行った姿がどうしても目に焼き付いて離れない。

だめよ。
仕事は仕事。

切り替えないと。

明日誠に会ったら、きっと何か話してくれるはずよ。

ポッキリと折れてしまいそうな気持ちをなんとかおさえて明日着ていく服を選ぶ。

さすがに明日から仕事に行くわけだし、もしかしたら今日は連絡のひとつくらいあるかもしれない。

そんな風に思っても一切沈黙を貫く私の携帯。

待てども待てども来ない。
気づけばもう時計の針は真上を向いていた。

なんだよ…

そして私は震える指でメッセージを打つ。

"どうして連絡くれないの？"

いや違う。
一旦消す。

"会いたい"

これも違う。

何度も打っては消してを繰り返してやっと打った文章は、結局事務的なメッセージだった。

"明日からよろしくお願いします"

そして送信を押す。

遅くに送ってしまったけどどこかですぐに返事が来るのではと思ったけど、結局誠から連絡が来ることはなかった。