今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
そして私は大事な事を思い出す。
「てゆうか! Mattのデザイナーだったなんて聞いてない!」
「俺も。紅羽ちゃんがフリーランスパタンナーだったなんて聞いてないけど?」
「んぐっ!」
「おあいこだな」
そう言ってクスッと笑う誠はめちゃくちゃかっこよく見えた。
ドキドキするでない紅羽。
「このまま、本当に帰ってしまおうか…」
真っ直ぐ前を向いて呟くように言う誠。
「へ?」
「嫌だ?」
嫌だ?って…
「その言い方ズルい」
「ははは。可愛いな紅羽ちゃんは」
銀髪の短髪で口にピアスを付けて、首と手の甲と指からはタトゥーが見えているこの男はどうしてこうも甘いのか。
ギャップよ。
グラグラと気持ちが揺れてしまう。
「や、やっぱり帰る!」
「だーめ。逃がさないよ。俺言ったよね? このままで終わらせたくないって」
そう言ってギラっと目を光らせるとなかば無理やりタクシーに乗せられ連行されてしまった。