今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
その時俺はその言葉を聞いてその通りだと思った。
父さんの言葉が胸に刺さった。

いくら家族とはいえ、そうだよな。
こんな半端な奴が大手企業のトップに立つ事なんて到底できないよな。

完全になめていた。

「誠。やるなら本気で頑張りなさい。半端は許さない。きっとなかなか難しいだろう。でもお前なら必ず出来るよ」

そう言って乱暴に頭をグリグリ撫でられた。

「と、父さん…」

「それにお前、本当はもっと好きな格好をしたいんじゃないのか?」

「え…?」

「そんな坊ちゃんみたいな髪型、いつまでやってんだ?」

おい。
これはマッシュカットだ。
坊ちゃんじゃないぞ。

まぁ坊ちゃんみたいにだいぶ真面目に生きてきたがな。

「好きな事、どんどん伸ばしていけ。お前の人生はお前のものだ」
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