今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
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あの日勝手に諦めていたデザイナーになりたいという夢を両親に話せた事で俺の人生はガラッと変わった。

未来に希望が持てず、燻んでいた世界が一気に色づいた。

それもこれも名前も知らない一度しか話した事のない彼女のおかげだ。

いつか彼女がパタンナーになって俺のデザインした服を作ってくれる日は果たして来るのだろうか。

俺を見つけてもらえるように世界に自分のブランドを広げようと胸に誓い、ひたすら前を向いて突っ走った。

父さんに言われた通りやるからにはとことんやる。
俺にはこれしかないから。

経営の勉強も続けていて本当に良かった。
決して無駄な事などなかった。

そしてブランドを立ち上げ数年が経ち、ようやく知名度も上がってきて人気の俳優や女優が俺のブランドを愛用する人が増えて一気に火がついた。

それでも俺はまだ彼女に出会う事が出来ていない。
彼女はあの後、パタンナーになったのだろうか。

デザイン画を見ただけでポンポンとアイディアを出せるなんて凄い才能の持ち主だったと思う。
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