重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。
「曲作ってるって、自分で歌ってるの?」
「いや、俺は音源を作ってるだけ。歌い手は別にいる。」
「へぇ〜、でも凄いなぁ。わたしなんて何の取り柄もないからなぁ。」
わたしがそう言うと、巡は「花恋は趣味とかないの?」と訊いた。
趣味かぁ、、、
わたしは少し考えてみたが、趣味というものが思い浮かばなかった。
「ないなぁ〜。毎日、仕事行く前に緑丘公園でボーっとして、それから仕事に行って、帰って来て寝るだけの毎日だもん。」
「休みの日は何してんの?」
「んー、寝て過ごしてるか、緑丘公園に居るか。」
「お前、本当あの公園好きなんだな。」
巡にそう言われ、確かにそうかもと気付く。
気付けば、あの公園に足が出向いてしまうのだ。
「あの公園、静かだから好きなんだよね。ぼんやりしながら、自分と向き合えるから好き。家に居ると、どうしても気持ちがどんよりしてきちゃって。」
わたしがそう言うと、巡は「自分と向き合うかぁ、、、偉いじゃん。」と言った。
「え?偉い?」
「自分と向き合う人って、居るようであまり居ない気がする。もちろん、時には逃げることが必要な時もあるけど、そこから自分と向き合おうとすることって、実は勇気がいることだと思うから。」
巡はそう言うと、パソコンデスクに肘をつき、「だから、花恋は凄いよ。」と口角を上げ、わたしを褒めてくれた。
褒められ慣れていないわたしは照れてしまい黙り込み、コーラに口をつけた。
そんなわたしを見て、巡は「お前、褒められ慣れてないんだな。」と、わたしのことを御見通しで、更に恥ずかしくなった。