君との恋は面倒すぎる
Episode8
───Side 蒼空


 その日の暗くなる前に日和を送った後、薫を呼び出した。

 近くのファミレスで入って待っていると、私服姿の薫が目の前に来る。

 薫は少し表情をかたくした後、俺の元にゆるく笑顔を向けて近寄ってきた。


「…久しぶり?」

「毎日顔合わせてんじゃん」


 久しぶりなんて違和感を感じる言葉にそう返すと薫は「確かに」と笑いながら椅子に座る。

 目の前にすると何話していいかわからない。

 友達と好きな子が被ってとかそんな経験ないし。
 それに俺が何を言えば良いのか。

 薫が日和を好きだとしても、別れるなんて言えるわけでもないし、だからと言って好きなのをやめろなんてことも言えない。

 話し合ってもこのまま俺達がどうにかなることは無いんじゃないかと思う。


「俺、前蒼空に言った通り、今も日和ちゃんが好きだ。きっぱり振られてるけど、それでも今でも好き」


 まっすぐ好きなんて言える薫が少し羨ましかった。

 いつも伝えられたらもっと俺達は上手く関係性を築けているはずなのに、俺のせいでどうも上手くいかない。そんな焦れた関係性を送っているというのに、俺が出来ないことを薫は物怖じせずにできる。

 そんな薫が羨ましくて眩しかった。

 薫が日和に近付くのを嫌だと思ったのは、そういうストレートに言葉を伝えられる薫を妬んでいたせいだとも思う。

 そもそも好意を持っている男…、いや、そもそも異性に近付いてほしくないとは思うけど、薫は日和に気持ちを何でもストレートに伝えられて、素直に言えない俺はいつか捨てられるんじゃないかと思っていた。

 そうなっても仕方ないともどこかで諦めようとすらしていた気がする。

 俺には出来ないなんて常に逃げ腰で、無理だと決めつけていたから。

 その結果自暴自棄になって、一緒に居たくないとか思っても居ない言葉で日和を傷付けてしまった。

 きっと薫なら日和を傷付けることを言わないんだろうなと考えてはまた劣等感に陥る。
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