君との恋は面倒すぎる
「…緊張しすぎ、そろそろ慣れれば。この距離感にも。」


そう言いながら頬杖をついて私の顔を覗き込んでくる。

こちらから見た蒼空くんの表情は悪戯心に満ち溢れていて、口の形が弓なりに弧を描いていて蒼空くんはこの距離に余裕な事に少し悔しくなる。

慣れる訳無い。好きな人と目を合わせるだけでも照れくさくてどうにかなりそうだって言うのに。

目を逸らすと「日和」って名前を呼ばれる。

それだけで逸らすなって言われてる事は理解出来るが、恥ずかしくて見られない。

顔を逸らしていると優しく頭を撫でられる。

驚いて思わず顔を見ると、蒼空くんは何も変わらない表情でずっと撫でてくる。

何なんだろう、この時間。


「な、何…?」

「撫で心地良いなと思って」


こんな風に触れてくるようになったのは最近だ。

手繋いだりハグしたりしたから?

急に触れるハードルが低くなったの。
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