君との恋は面倒すぎる
 お昼休み明け、HRは予想していた通り修学旅行の班決めに使われる。

 蒼空くんは隣で興味も無さそうにペン回しをしている。

 中学の時からだけど、蒼空くんは手元が暇な時よくペン回しを落とさず行っている。退屈しのぎなのか、時折眠たそうな表情をしながら頬杖をついて、片手でペン回し。

 そんな姿がなんとなく、可愛らしいと感じてしまう。

 隣を見ていると蒼空くんはふとこちらに視線を送る。
 目が合うと少し鼓動が鳴るのを感じた。


「…何」

「ううん、手元器用だなって」


 そう答えると蒼空くんはまた黒板に目を戻す。

 隣の席に座る彼を見て、修学旅行やっぱり蒼空くんと居たいという気持ちが募っていく。

 中学生の時、一緒になんて誘えなかったから、高校が最後のチャンスだった。旅行が今後あったとしても、修学旅行はこれっきりなのだ。

 そのこれっきりを、自分も我慢はしたくはない。

 茉莉ちゃんの気持ちは、もちろん大事。
 だけれど、自分の感情だって、大事にしたい。


「じゃあ行動班決めてそこから修学旅行の予定決めてくれ」


 そんな先生の声で、各々立ち上がり、散らばった。

 修学旅行の行き先は沖縄。行ったことはない。いずれ行ってみたいと思っていたから少し気分が上がる。

 私が行程表を眺めながら、まだ席にいると茉莉ちゃんは私の席に近付いてくる。そして私の肩を後ろから両手で掴む。


「楽しみだね」

「そうだね」


 緩く会話をして、笑いあう。

 問題は、この班決めだった。
 五人か、六人の班で組むこと、と指示がある。

 男女班でも同性だけの班でもいいとは書いてあるが、修学旅行なんて何か起きる場と男子も女子も思っているため、大体のところが男女の班だと思う。

 ふと、隣の席にまだいる蒼空くんを見る。
 彼は薫くんと組むらしく、蒼空くんの近くに居た薫くんがこっちを見てくる。


「日和ちゃんのとこ2人?」

「あー、そうなんだけどね」


 茉莉ちゃんは私の腕の制服をぎゅっと掴み、不安を示していた。
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