君との恋は面倒すぎる
 何も答えは出ないまま、茉莉ちゃんとふたりきりの夜。

 私が勝手に気まずい気持ちになっているだけだけど、すごく気まずい。

 蒼空くんのこと、好きなの?なんて聞けないし、聞きたくもない。

 でもこのまま知らない振りをしてていいのかも、悩む。

 聞いたとしても、認めるわけがないし、男子が苦手なのに蒼空くんとは目を合わせて話せるの何で?

 ああ、すごくもやもやする。

 蒼空くんを好きな女子がいるのは分かっていても、仲のいい友達が好きになったって言われたら…、そんなのはあまり考えたくもない。

 好きになった気持ちはだれにも止める権利はない。

 わかっている。だけど、それでも、蒼空くんのことだけは好きにならないでほしかった。


「日和ちゃん。明日体験行くんだよね」


 茉莉ちゃんにそう声を掛けられ「うん」と短く答える。

 明日は班行動でガラス細工作りに行く。

 頭はそれどころじゃなく、笑顔を取り繕うも今は茉莉ちゃんとうまく話せない。

 茉莉ちゃんと今一緒に居て会話をしても、気を抜いたら嫉妬や不安で酷い言葉を吐いてしまうのではないかと不安になる。


「…ちょっと外行ってくるね」


 ビーチは夜の自由時間に行ってもいいことになっている。

 そのため、頭を冷やすため外に出ることにした。


「え?私も行くよ?」

「あ、ううん。気分転換したいだけだから。すぐ戻って来る!」


 そう言って笑い、上着とスマートフォンだけ持って出る。

 そのまま、茉莉ちゃんから逃げるように部屋を出てしまった。

 嫌な感じだよね、私。

 そう思うも、今は抑えられない。


「あれ、日和?今丁度日和にホテルの売店行かないって誘いに…。どうしたの」


 向かいから歩いてきた紗月が私の異変に気付く。


「…紗月、ちょっと一緒に外行かない?」

「うん、あ、暑いしアイスと飲み物買って行こう」


 そう言って2人で売店に寄ってから、ビーチに出る。

 みんなは部屋でゆっくりしているのか外には誰も居ない。

 外に出ると、紗月は静かに「茉莉のこと?」と、問いかけてきた。


「…やっぱり紗月気づいてたんだ」

「…そうだね」


 静かに話し、人も居ないからか、波の音だけが鮮明に聞こえる。

 夜の海、すごく綺麗なのに、今は目の前の景色よりも、今日の水族館での2人のことなどを思い出してしまう。
< 170 / 266 >

この作品をシェア

pagetop