君との恋は面倒すぎる
「今日、ちゃんと二人きりにしてあげればよかったって思った。柊くんがそんな気無くてもあの子がなにかやらかす可能性あるなって思ったし」


 紗月の言葉に首を横に振る。


「みんなで回れて楽しかったし、そこに関して後悔はないけど、でも…」


 どう言葉にしていいか分からなくて言葉に詰まる。

 茉莉ちゃんのこと、好きだし蒼空くんを好きになったからって友達やめたいとか、そんなことは全くない。

 でも、今の状況をどうしたら良いかわからない。

 大事な友達が、自分の彼氏を好きになって、その好意を持っている瞬間を見るのは、何より苦しい。


「私、茉莉ちゃんの事大好きだよ。だから、もし蒼空くんが好きならそう言ってほしい」

「好きだって聞いて、どうするの」

「友達だからって、こっちが諦めたりは出来ないけど、でも、私が友達で隠して結局裏で蒼空くんにアピールされるくらいなら、言ってほしいよ」


 紗月は「そっか」と呟いて海を眺める。

 これからどうするかとかそんなの決められない。

 でも蒼空くんとのことも、茉莉ちゃんとのことも諦められないよ。

 どうにか今の状況を変えたい。

 そう思っているのに、何も思いつかず、何もできない自分が情けない。


「私、日和のそういう所大好きだけどさ、でもごめん。日和お人好しすぎる。茉莉だけは好きになれない」

「…紗月」

「今日、日和と周りたいって言ったのは、柊くんとのこと邪魔したかったんだと思うよ。だって今日あの子ずっと柊くんのこと見てたし。日和がその気でいても、あの子が日和と同じ気持ちとは限らない」


 紗月の言葉に胸が苦しくなってしまう。

 彼女の言うことはすごく正しいと思う。

 きっと私と蒼空くんのことを、茉莉ちゃんは応援していない。

 それでも学校で過ごしたあの時間まで嘘だったとか、なかったことにしたくない。

 日和ちゃん大好きって寄ってきてくれた茉莉ちゃんのことも、全部全部、忘れたくはないの。


「…うーん」


 2人で話し込み、しばらく波の音だけが聞こえていた後、後ろから声が聞こえてきた。


「あ、日和ちゃん!」


 茉莉ちゃんの楽しそうな声が聞こえて振り返る。

 その隣に蒼空くんも居た。

 ありえないはずの状況に、思わず笑ってしまいそうになる。
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