君との恋は面倒すぎる
Episode18
 三月一日、朝。今日の通学路はいつもと違う。

 相変わらず首元には蒼空くんのネクタイを締めて、スクールバッグを持って下に降りる。


「日和、もう行くの?」


 用意をしている両親にそう声を掛けられ、顔を出して顔を縦に振る。


「うん、今日は途中まで蒼空くんと学校に行って、そこから紗月たちとも行く!」

「そっか、最後の学校楽しんでおいでね。お母さんたちも後から行くから」

「うん!行ってきます!」


 そんな言葉を交わし、家から出ると、蒼空くんが既に家の前に居た。


「おはよ」

「…おはよう!」


 制服姿で顔を合わせるのは今日で最後だ。

 毎日、当たり前だって思っていたのに、今日でその当たり前は終わる。


「なんか寂しいね。制服着て会うの最後だと思ったら」

「そうだね」


 隣を歩き始めると今や当たり前のように手を取ってくれる。付き合いたての時は、手を繋ぐだけでもあんなに苦労していたのが懐かしい。

 ほんの少しだけ笑っていると、蒼空くんが不思議そうにこちらに顔を向けていた。


「何笑ってんの」

「付き合いたての時、手繋ぐのもあんなに苦労したのに今こんなに当たり前に繋いでくれるんだなって」


 そう言うと蒼空くんはふいと顔を前に向ける。


「そりゃ、いつまでも同じところで止まってないでしょ」


 進むのはかなりゆっくりだったけど、私達らしい交際だった。これからも、いろいろ弊害がありながらも、私達らしくゆっくり進んでいくのだと思う。

 少し歩くと薫くんと紗月が待っている。


「おはよう、2人とも」

「朝からまあお熱いことで」


 挨拶してくれる紗月と、手を繋いでいる私達を見て茶化してくる薫くん。

 少し顔が赤くなったのは私だけだったけど、蒼空くんは悪い?と開き直ったような表情をしていた。
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