君との恋は面倒すぎる
 一番最初に来たのは屋上だった。

 屋上での思い出は一年目の学校祭。
 二人で初めてまわった学校行事。

 初めてしてくれた嫉妬も、鮮明に覚えている。頭を薫くんに撫でられてそれに嫉妬した蒼空くんが上書きするように、頭を撫でてくれたこと。そしてたくさん初めて聞けた本音。あの時初めて抱きしめさせてくれたこと。

 ここから恋人として初めて、蒼空くんのいろいろな所を知れた気がする。不器用で本当素直じゃない蒼空くんだったけど、すごく面倒くさくて可愛いなって初めてその時に思った。


「なんか懐かしいね。一年目の学校祭」

「…今思えばあんなに遠回りする必要なかったんだよな」


 蒼空くんの言葉に思わず笑ってしまう。


「本当そうだよね。あそこまで嫉妬しないと素直になれない蒼空くん」

「何、生意気」


 そう言いながら私の頬を軽く摘む。


「いっ!」


 蒼空くんを睨みつけるために顔を上げると、その瞬間に軽く唇が重なる。


「…え?」

「あの日、キスしなかったから、リベンジ?」


 そういたずらっぽい笑みを浮かべる蒼空くんに目が離せなくなる。

 そうだったあの日、初めてキスされるかも?なんて思って、期待していたら、飛んできたのはデコピン。

 あの頃は触れるだけでも、一苦労だった。


「で、次は?」


 私が余韻に浸っている間に、手を引きながら歩き出す蒼空くんと屋上を後にする。
< 231 / 266 >

この作品をシェア

pagetop