君との恋は面倒すぎる
 手続きはそんなに多くはなくて、複雑なことはなかったけど、飛行機に乗り込んでからはいつもソワソワしてしまう。

 こんな風に彼氏と、隣同士で飛行機に乗るのなんてことも初めてだ。


「今日寒いかな、向こう」

「テレビで気温見てた感じまだまだ冷えそうだったよ」


 そう言いながら飛行機の案内が書かれた紙に、目を通している。

 それにしても何度見ても彼氏のロングコート姿いい…。

 シンプルな着こなしでも格好よく見えてしまうのずるいと思う。お顔とスタイルがいいのがあったとしても、格好良すぎる。

 こんなに撃ち抜かれるのは蒼空くんだからには違いないんだけど、会った瞬間から胸が苦しい。


「今日、私蒼空くんに殺される…」

「は?」


 何の事と言いたげに怪訝そうな顔をしてこちらを見てくる。

 そんなお顔をしても尊いお顔なのですが、蒼空くんを産んでくれたお母さんありがとう、ともはや天に拝んでしまう。

 あ、蒼空くんのお母さんはまだ元気です。

 二泊三日の知らない土地での旅行、蒼空くんの誕生日になる瞬間に一緒にいれること、どれもこれも貴重で初めての事で嬉しい。

 こんなに長くずっと一緒に入れたこともないし、何より…、


「今日と明日だけはバイバイって言わなくていいんだよね?」


 周りから言わせてみればそんなこと?だけど私にしたらこの寂しい瞬間を、二回も味合わずに済むというのは大事な事だった。

 バイバイって離れる瞬間はいつも寂しい。


「…そうだね」


 蒼空くんもそう小さく返して顔を窓の外に向ける。

 今日蒼空くんも楽しみにしてくれてたかな。


「今日楽しみすぎて早く起きちゃったんだ、昨日も寝れなくてさ」


話しかけると蒼空くんの顔がこちらに向く。


「そんなんでちゃんと向こうで動けんの」

「その辺は大丈夫!まかせて!」


 そう言って笑うと蒼空くんはふと笑みを零して「俺も楽しみだった」なんて言ってくれた。

 いつも同じ分だけの気持ちを返してくれる。
 そういう所が本当に大好きで仕方がない。


「たくさん楽しもうね!」


 そう言うとうんと頷いて私の手をそっと握ってくれた。

 最近一緒にいると手を繋いでくれる。前までは私の方が手を繋ぎたくて仕方がないって感じだったのに、何も言わなくても蒼空くんが当たり前に手を繋いでくれる。

 蒼空くんはいつもすぐに返してくれるのに、私はこういう時のお返しの仕方がまだわからない。
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