龍神島の花嫁綺譚
「戻ってきたのだな」
「はい。予定外ではありますが……」
暗い場所で蹲る陽葉の瞼の裏には、白玖斗が陽葉の姿をした天音と話す姿が映像のように映っている。
陽葉には、外の様子が俯瞰的に見渡せた。
「予定外とは?」
眉をひそめる白玖斗を、天音が凛とした表情で見つめ返す。
「黎斗が目覚めました」
強いまなざし、迷いのない声。陽葉ではないその女を、白玖斗が眩しげに見つめる。
「それで、おまえは? また俺に力を貸してくれるのか?」
「もちろん、お力を貸しましょう」
甘やかな声でそう言うと、天音は自らの唇に歯をたてた。そこに、唇よりも濃い紅が滲む。
天音は白玖斗の首に腕を回すと、ゆっくりと彼に口付けた。
触れているのは陽葉ではないのに、なぜか唇にあたたかい心地よさを感じる。トクン、トクンと陽葉の一部が白玖斗に流れ込んでひとつになるような気がする。
天音が噛んだ傷をそっと舐めると、白玖斗がコクンと小さく喉を鳴らした。
「はい。予定外ではありますが……」
暗い場所で蹲る陽葉の瞼の裏には、白玖斗が陽葉の姿をした天音と話す姿が映像のように映っている。
陽葉には、外の様子が俯瞰的に見渡せた。
「予定外とは?」
眉をひそめる白玖斗を、天音が凛とした表情で見つめ返す。
「黎斗が目覚めました」
強いまなざし、迷いのない声。陽葉ではないその女を、白玖斗が眩しげに見つめる。
「それで、おまえは? また俺に力を貸してくれるのか?」
「もちろん、お力を貸しましょう」
甘やかな声でそう言うと、天音は自らの唇に歯をたてた。そこに、唇よりも濃い紅が滲む。
天音は白玖斗の首に腕を回すと、ゆっくりと彼に口付けた。
触れているのは陽葉ではないのに、なぜか唇にあたたかい心地よさを感じる。トクン、トクンと陽葉の一部が白玖斗に流れ込んでひとつになるような気がする。
天音が噛んだ傷をそっと舐めると、白玖斗がコクンと小さく喉を鳴らした。