この恋、延長可能ですか?
「てかrihoと片桐千暖《かたぎりちはる》、やっと共演するんだ」
「あ、でもでも、ダブル主演だけど恋愛要素はゼロらしいよ」
「まじか。やっぱリーダーと付き合ってるから、メンバーとのラブシーンはNGってこと?」
「でもさあ、riho演技下手だよね。良いの顔だけ」
「それな〜!まあ、千暖が神過ぎるから、カバーするんじゃない」
「千暖の一人勝ちってこと?rihoざまぁ」
こ、怖い……。
線の外側にいる知らない人から白昼堂々陰口を言われている女優を気の毒に思っていれば、
「雨宮、眠そうだね?」
陰口から一転。とっても可愛らしい声が聞こえた。よくよく見れば、私の前方には雨宮くんがいるではないか。というより、華やかなメンツを見るに、営業部のメンバーだろう。
雨宮くんを確認した途端、彼は気持ちの良さそうに欠伸を噛んだ。横顔なのに、そのさまも美しいって理不尽すぎませんか、神さま。
「だめだ。今日の飲み、寝る予感しかしない」
「ええ!?ちゃんと参加してよね」
「んー……」
やる気、ないなあ。他人から求められているものに、興味がちっともなさそうだ。
「昨日、寝るの遅かったの?」
「うん。女の子が寝かせてくれなくて」
ちらり、ねむたげな三白眼と視線がぶつかる。
ん……?
今、目が合った?
……いや、気の所為だ。雨宮くんが私を気にする意味がないもの。
「やだ、やらし〜」
きゃっきゃと賑やかそうに湧く声たちを無視して、すい〜っと視線を食券機に向け、アジフライ定食を押した。
芸能界でもなく、一般的な世界だとしても。彼らと私の間には、明確な線引きがされている。