三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
「どうした?」
「いえ、あの、なんだか私だけドキドキしてキール様に翻弄されてるみたいで、なんだか悔しいと言いますか……」

 ヴィオラの返事に、キールは目を丸くする。それから、ふはっと嬉しそうに笑った。

「そんなことを思っていたのか?ヴィオラばっかりドキドキしてると言うけど、俺だっていつも可愛いヴィオラにドキドキしっぱなしだよ。なるべく気づかれないように装ってるだけだ」
「そう、なのですか?」

 ヴィオラが意外そうな顔で首をかしげると、キールは頷いた。

「それに、そろそろこういうことにも慣れていってもらわないと。俺たちは夫婦なんだ、いずれキス以上のことだって……って、ヴィオラ?」

(キ、キス以上のこと……!そうよね、夫婦なんだし、そういうこともするのよね)

 わかってはいるし、嫌なわけではない。むしろキールとそうなれるなら嬉しい。でも、ヴィオラにとっては初めてのことばかりだし、刺激が強すぎる。顔を真っ赤にしてプルプルと震えるヴィオラを見て、キールは心配そうに眉を下げる。

「ヴィオラ、俺はヴィオラが嫌がることは絶対にしない。ヴィオラのペースに合わせるし、もしもヴィオラがどうしても嫌なら……」
「い、嫌ではないんです!キール様とそういうことになれるのはとても、嬉しいので!」
「そ、そうか」

 ヴィオラの勢いに、キールはほんの少し頬を赤くして嬉しそうに微笑む。その微笑みを見て、ヴィオラの胸は大きく高鳴った。

「あの、よくわからないことだらけですし、キール様のことが、その、好きすぎてドキドキが止まらなくなってしまうんです。でも、なるべく早くキール様とそうなれるように、頑張りたいと思っていますので……よ、よろしくお願いします」

 ヴィオラが言い終わるかどうかのところで、キールはヴィオラを抱きしめた。

(へ?え?キール様?)

「ヴィオラ、あんまり可愛いことばかり言わないでくれ。歯止めが利かなくなりそうだ」
「えっ?」
「いや、いいんだ。俺の問題だから」

 キールはヴィオラをぎゅうっと力強く抱きしめてから、体を離す。そして、ヴィオラの額に自分の額を軽く当てた。

(ち、近い!どうしよう、キール様のおでこが私のおでこに……!でも、暖かくてなんだか、嬉しい)

 キールの肌の温もりを感じて、ヴィオラはそっと瞳を閉じる。

「ヴィオラ、俺は本当に君のことが大好きで仕方がない。だからこそ、大切にしたいんだ。君がそんな風に思ってくれて俺はとても嬉しい。ヴィオラ、何度でも言うよ、俺は君を絶対に幸せにする。一緒にずっと幸せに生きていこう」
「……はい!」

 ヴィオラが嬉しそうに微笑んで返事をすると、キールも微笑んで額をゆっくりと離した。

「よし、ケーキを食べよう。こんな美味しいケーキ、残すのはもったいない」
「あの、冷蔵庫に入れて明日また食べてもいいのですよ?」
「いや、この量なら全部食べれるし、食べたい。それに、ヴィオラだってまだ食べたりないだろう?」

 キールにフフッと笑いながらそう言われて、ヴィオラは照れたように頷いた。そうして、二人は、また仲良くケーキを美味しそうに頬張るのだった。
< 40 / 40 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:18

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
第一王子をたぶらかしたと嘘の罪をきせられ追放され、領地の外れでひっそりと暮らしている伯爵令嬢のエリスは、森の中で瀕死になっている一匹の犬を見つける。回復するまで屋敷で世話を焼いていたある日、ふと目が覚めると目の前には見知らぬ美しい男性が寝ていた。 「俺は犬じゃない。狼の神獣だ」 狼の神獣イリオに見初められたエリスは、イリオと共に日々を過ごすことになる。そんなある日、エリスは追放された原因である第一王子に王城へ呼ばれて……。エリスを巡るイリオと第一王子の時を超えた愛憎劇が始まった。
幸せの青い小鳥を助けたら、隣国の王子に番になってくれと求婚されました

総文字数/23,335

ファンタジー45ページ

第6回ベリーズカフェファンタジー小説大賞エントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
継母と義姉に良く思われず実家に居場所のない伯爵令嬢シーラ・ランドベルは、領地内の外れにある小さな屋敷に追いやられひっそりと暮らしていた。シーラを嫌う義姉のキリルは、ことあるごとにシーラの元を訪ね、嫌がらせをする。 ある日、シーラが散歩をしていると、突然美しい青い小鳥が目の前に落ちる。瀕死の青い小鳥を拾い助けてあげると、小鳥は元気になり、シーラにすっかり懐いてしまった。 小鳥を拾ってから数週間後、シーラは突然婚約者に婚約破棄を手紙で言い渡される。絶望するシーラに追い打ちをかけるように、青い小鳥は突然シーラの元からいなくなってしまう。何もかも失ったシーラをさらにキリルは執拗にいじめるが、突然見知らぬ青髪の美しい男性がやってきて……。 「俺の番になってほしい。君を幸せにしたいんだ」 虐げられ令嬢のハッピーエンドなシンデレラストーリー。
この恋は報われないはずだった

総文字数/14,921

恋愛(純愛)13ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
遠野楓(かえで)には密かにずっと憧れている義兄、響(ひびき)がいた。義兄と言っても、高校生の頃に母親の再婚で義兄になり、大学生の頃に離婚して別離した元義兄だ。 楓は職場での辛い恋愛に終止符を打って退職し、心機一転新しく住むはずだったマンションに向かう。だが、不動産屋の手違いで既に住人がおり、しかもその住人がまさかの響だった。行くあてのない楓に、響は当然のように一緒に住む提案をする。 響のその提案によって、報われない恋を封印していた楓の恋心は、また再燃し始める。 「こんなに苦しい思いをするなら、お兄ちゃんになんてなってほしくなかった」 ずっとお互い思い合っているのに、すれ違ったまま離れていた二人。拗らせたままの心の距離が、同居によって急速に縮まっていく。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop