Dearest 1st 〜Dream〜
無理に明るい声を出し、笑いかける彩を否定なんか出来なかった。
「……ありがとう」
「ううん、ありがとうって言うのは彩だよ。
朝岡さん、スーパーマンみたい。」
彩はくすくすっと笑って、俺を見つめた。
「……スーパーマンか。
なれるもんならなってあげたいわ」
本当にヒーローだったら、彩がこんな傷だらけになる前に現れてあげたかった。
「──…じゃあ、また助けてね。」
彩がクルリと背を向けた瞬間に、“あるモノ”に気付く。
「───彩!」
「んっ?」
呼び止めて、わざとこちらを振り向かせた。
“その存在”を確認する為に。
「彩、ミルクティー好き?」
「うんっ♪大好き!」
───キラッ。
耳に光る十字架のピアス。
確認して、胸が焦げ付いた。
……付けてくれてるんや……。
──“大好き”──
俺が望んでいた笑顔とその言葉に、一瞬で酔いしれそうになった。
……この日から、心に誓った。
──その笑顔を、絶対に守るって。
何が何でも。
だから絶やさないで。
安心できる場所で、
その笑顔を絶え間なく咲かし続けて欲しい。