Dearest 1st 〜Dream〜
「────…っ」
声を殺し、
感情を抑え、
追いかけてくる恐怖に震える彩。
──…話して欲しい。
見果てぬ絶望に一人で耐えるのをやめて。
轟く風に一人で身を晒すのを止めて。
氷のように冷たい悲しみを俺に教えて。
───知りたい。
知りたい、その涙の理由を。
「……朝岡さん…
前を向きたくても向けない場合はどうしたらいい…?」
やや抽象的ではあるが、
彩は今の状態をポツリと口にした。
多分、それが彩なりの精一杯の伝え方だったんだと思う。
前を向きたくても向けない場合──…?
…………。
あえて深くは考えず、
飾らないように思い付いた言葉を声に変えた。
「…せやなぁ…
俺なら──…」
「……うん」
「前を向くことをやめるかな──…」