Dearest 1st 〜Dream〜





オリジナルを数曲披露し、波に乗るように盛り上がった俺達は、割れんばかりの拍手に見送られながらステージを後にした。





「やー♪

今日も盛り上がったねー!!♪♪♪」




壱は満足したようにニコニコと肩からギターを降ろして笑う。





「なかなか客の反応も良かったわね。



純、はいタオル。」





「ん、ありがとう。」





マリアに差し出されたタオルを受け取り、俺は額の雫を拭った。





「それにしても今日の純はひたすら飛ばしまくってたな。



純、大丈夫か?」





俺は吾郎からの相変わらず鋭い質問に苦笑いを浮かべた。





「……大丈夫やで。

叫びたい気分やっただけ♪」





そう言って俺は表情を隠すように楽屋の扉を開けた。






──…吾郎の言う通りだった。





ライブ中、俺は彩を振り切るように底抜けに叫び続けていた。




……バカみたいに歌えば少しは楽になれる気がした。





──いや……




そうじゃない。





昔から嫌な事があると、こうすれば楽になれる事を知っていたからだ。






声を張り上げて




自分の気持ちを重ねて




何もかもを忘れるかのように





…だけどちっとも楽にはなれない。





楽になるどころか思い出してばかりいる。







「あーあ…もう…」






ペットボトルの封を開け、また浮上しそうな気持ちを沈めるかのように一気に水を飲み干した。


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