Dearest 1st 〜Dream〜
手の甲で唇をギュッと拭い溜め息を零せば、
───コンコン♪
ガチャ!
「───よっ!!
紅のみなさんご機嫌いかが?」
扉から、突然の訪問者が顔を出す。
「あ~!!隼人じゃん!!
一体何しに来たの?」
壱が隼人の顔を見てパッと立ち上がる。
隼人…?
隼人だって……?
俺は振り向き、いきなり顔を出す隼人を見て更に疲労がプラスした。
「──まぁま★♪
ライバルバンドだからってそんな嫌がらないでくれる?」
そう言う隼人はニヤッと笑った。
隼人がリーダーのバンド、“大和”。
別に俺達はライバル意識は持ってないのに、何故か隼人達には勝手にライバル視されている。
「あーあ。
全く、また紅には完敗したよ。」
ホストのようなヴィジュアルをした隼人は参りましたとばかりに手を挙げた。
「あったり前じゃん!!
うちのリーダーがいる限り紅が負ける事はないんだよっっ!」
壱が自慢気に笑いかけ、隼人はハイハイとばかりに笑った。
「本当にな。
うちにももう一人朝岡みたいな逸材が欲しい限りだよ。」
「お褒めの言葉をどーも♪
俺を引き抜きたいんなら大金用意せぇよ♪」
俺が笑ってバシリと隼人の背中を叩くと、
「──ってぇ!
いや……
じゃあさぁ……」
隼人は俺の首に腕を絡め、ヒソヒソと何やら商談を始めて来た。