Dearest 1st 〜Dream〜
朝一のシャワーを身に浴びせ、再びリビングに戻った俺の目に飛び込んで来たのは──…
「焦げちゃった…」
そうしょんぼりとうなだれるチカの姿だった。
食卓に並ぶ朝飯。
その中でも焦げた卵焼きが一番印象的で、
俺はくすくすっと笑った。
「…何で笑うの…」
「いや、頑張ったんやなぁ~ってさ♪」
言い終わらないうちに、俺はひょいっと卵焼きを口に放り込む。
「──…あっ!
ちょっと純……っ!
だからそれ焦げてるんだってば……!絶対まずい!」
チカは慌てた様子で俺を見つめているが……
「……そ?
パンチ合っていいんじゃないの?♪
それに俺好き嫌いないしな。」
「……もう……」
もぐもぐと食べ続ける俺を見て、チカは呆れたように笑った。
「優しいっていうか嬉しいだけやで?」
「嬉しい?」
「うん、だってチカ初めて俺に料理作ってくれたやん?」
「ちっ違うよ…
だってここにいるからには、何かしてあげたくなって──…」
にこっと微笑む俺を見て、チカは恥ずかしそうに顔を赤らめた。
……チカは料理が大の苦手だった。
付き合ってから一度も料理なんて作って貰った事もなかったし、
何度夜を一緒に過ごしても、朝になるとチカは早々と部屋から出て行っていたから──…
こんな風に一緒に朝飯を囲んだ事もなかったし、ましてや朝飯を作って貰った経験もなかった。
だから、
味より何より、
“チカが一生懸命俺の為に作ってくれた料理”が
その気持ちが……
何より、嬉しかったんだ。