Dearest 1st 〜Dream〜
────…パンッ!
チカの手を払いのけ、
前に進もうとする俺に
「………ふーん。
いいの?純。
あの子が純と同じような目に遭っても。」
背後からそんな声が聞こえ、俺はピタリと足を止めた。
「今ここであたしの手を払いのけたとしても、明日はどうだろうね…?」
────ドクン──…
「あたしが彩ちゃんを刺さないように、あたしのそばにいて監視してなくていいの?」
──────……
クスクスと笑うチカの狙いを理解して、絶句してしまった。
「……だから言ったじゃない。
あたしを裏切ったら許さないって……」
チカの笑い声が響く中、
彩の弱々しい、傷だらけの後ろ姿が見えた。
……あれ以上傷つけるなんて、俺には耐えられない。
彩は何も悪くないのに。
「……分かった……
分かったから……
彩には一切手を出すな──…」
それでも
優先順位は彩だった
……大丈夫だ。
彩には、表立って支えて守ってくれる、ぶんがいる。
俺は影からになるけれど、気付かれず密かに君を守ろう。
これで彩を守れるのなら──…
俺は、悪魔にでも身を売ってやる。
……白く輝く雪が舞う中
俺は何もかもを黒く染めたくて目を閉じ、
何も見えない漆黒の闇の中、そう固く決断した。