Dearest 1st 〜Dream〜
歩くにも、普段以上に時間が掛かる体。
………本当は全速力で走りたい。
傷は浅いはずなのに、
動揺しているせいか、体が大袈裟に痛みを感じているように思える。
──……やっと公園を目前にした時だった。
「───…!」
チカがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
「─────チカ!!」
俺がありったけの声で叫ぶと、チカは驚いて俺を見つめ返し……
「──…純………っ?」
「彩は……っ!?
彩に何もしてないやろな?!」
そう言い終わると同時に、遠目ではあるが彩の姿が映った。
だけど───……
「────……ッ……」
………それは
地面にうずくまり、
小さくなって震えながら泣いている彩の姿だった。
「──……彩……っ!
チカ!!!!
お前彩に何した?!」
「……………さぁ?」
「──────…っ」
これ以上会話をしても無駄だと判断した俺は、彩の元へと一歩踏み出した。
─────…だが……
「────行かせない。」
両手を広げ、俺の前に立ちふさがるチカ。
「……どいてくれ、チカ」
「──…嫌よ。
あの子の所へなんか行かせないから。
絶対────…!」
そしてチカは、
俺の目の前でもう一度ナイフをチラつかせた。