Dearest 1st 〜Dream〜
────………
「───…じゃあ、また」
「…うん…ありがとう…」
彩の自宅前。
彩は車から降り、運転席側にわざわざ回って来た。
名残惜しい瞬間だな、と思う。
「俺さ……
ずっと彩の味方やからな?
その座は譲らんで?」
「──…うん…
ありがとう…。」
……また困った時は声を掛けて。
そしたら必ず飛んで行くから。
「───…じゃあ…」
「……うん、ありがとう。」
俺は彩に別れを告げ、笑って車を走らせた。
バックミラーに映る彩が、どんどん小さくなる。
……ありがとう。
一日だけでも、
限られた時間でも、
恋人のように一緒に過ごせたこと。
そして自分の想いを自分で告げられた。
──…もう、十分満足だよ。
最後に、一番忘れられない思い出が出来たから。
──…君に出逢えて本当に良かった。
彩───……
ありがとう………。