Dearest 1st 〜Dream〜
────……その夜。
「───…ちょっ…
ちょっと純!?!?
これは飲み過ぎだって!!」
────バッ!
マリアが俺から素早くジョッキを奪い取る。
送別会から早々と抜け出し帰ってきた俺は、いてもたってもいられなくなって酒に溺れていた。
「……どーしたの、純…。
なんからしくないよ…?」
壱は俺の飲みっぷりに驚きつつ、そんな風に声を掛けた。
「……俺が酒強いって知ってるやろ……
……大丈夫やって……。」
─────バッ!
マリアからジョッキを奪い取り、もう何杯目か分からない酒を放り込む。
だって飲まなきゃやってられない。
酔いたい───……
酔いたい───……
……酔えない───…
「────……」
その一心で酒を飲み続ける俺を、吾郎は何も言わずに見つめていた。
……何も言わない吾郎は分かっていたのかもしれない。
俺は親父譲りでもっぱら酒に強く、今まで酔った事がなかった。
酔えない事は分かっていた。
だけど今日だけは──…
……そう、
今日だけは酔いつぶれて夢を見たかった。
汚くも、
儚い夢を。