Dearest 1st 〜Dream〜
────…ヒュゥゥ…。
病院までの木枯らし吹く道のりを、吾郎、マリア、壱と共に歩いていれば
「───…あれっ!?
朝岡くんじゃない!?!?」
「─────…」
────え…………
その声は………
「───…早希……?」
「わぁ~!!また会ったね!!
朝岡くん久しぶり!!椎葉くんもっ!!
文化祭以来だねっ!?」
───…そう、そこには文化祭に再会した元生徒会メンバーの早希の姿があった。
「お友達の皆さんもこんにちはっ♪
みんなお揃いでどこかにお出掛けっ?♪」
早希はニコニコと屈託ない笑顔で問い掛ける。
「……うん、ちょっとな……」
さすがに病院なんて行き先を言えず、答えを濁す俺の耳に
「───…キャッキャッ……」
早希の腕から、小さな天使の笑い声が聞こえた。
「──…あはっ、この子朝岡くんが好きみたい。」
「…………」
「……キャッキャッ……」
必死に俺に手を伸ばしている早希の子供が………。
───…何故か、
尊くて尊くて───……
─────…キュッ……。
俺が指を差し出してそっと触れると、小さな手がキュッと握り返して来た。
「………………」
「……朝岡くん……?
どうしたの………?」
「……いや……何か──…何やろう………」
その小さな手に
その小さな声に
その小さな体に
───“命”の重さを思い知らされた気がして、急に涙が溢れていた。