Dearest 1st 〜Dream〜




「朝岡くんってば相変わらず情に脆いんだからー…




……ね~羽衣~♪」





「……キャッキャッ……」







────………。






『いいなー、赤ちゃん超癒される~♪』







文化祭でそう言って赤ん坊を見つめていたチカを、ふいに思い出した。





もともと子供好きで保育の道に進んだチカは、いつか保育士になることを夢見ている。





……そんなチカに、

“堕ろせ”なんて恐ろしい事言える訳がない。






第一、俺は命を殺すなんて出来ない。






だって──…







だって小さくてもこんな必死に呼吸してる。








────生きてる。







それを自分勝手な理由で絶つなんて……





そんな理に叶わない事が出来る訳ない。







「……そういや朝岡くんって子供好きだったよね?



早く結婚して子供作っちゃいなよ♪



もー超~~ッッ可愛いよっ♪子供っっ♪」






「さっ早希ちゃん…!」




「へ?何よっ?」





吾郎は気を使って苦笑いするが、状況を把握していない早希には無意味だ。







……結婚……か。






俺も────…。







「──…そのうち結婚すると思うで。」






早希にそう言えば、





「───…えぇぇぇっ!!

何なに!?まさかチカと!?!?」






早希は興味津々で目を輝かせ、身を乗り出してきた。



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