Dearest 1st 〜Dream〜






───…あれから、数ヶ月。




俺は思ったより体のダメージが深刻だったそうで、じっくり入院しながら安静・休養に努めた。





───…お陰で百日咳は完治。




知らず知らずのうちに積もり積もっていたストレスから解放されたからか、過呼吸は全く起こらなくなった。





体重は以前と比べたら少しは戻ったが……





何せ何も口にしない状態を過ごし続けていたせいか、まだまだ元には戻ってはいない。






───…そして、喉も……。






もう思いっきり歌えるはずなのに、何故か歌おうにも歌えない。





依然マイクを持てば手が震え、声は出ない。





ステージに立とうとすれば、倒れた自分が重なって足が進まない。







───もう俺にとって、歌うことは不可能だった。






………だけど








「純~!!何してるの~!?

ゴローちゃんのお弁当超ーッッ美味しいよーッッ!?!?」





「早く来ないとバカ猿に全部食われちゃうわよー。」




「くぁー!!!!何だってぇ~ッッ!?!?!?」





「うるさい二人共!!

純、マジ早く来いって!!」





「………うん。」






俺は笑いながら、三人が座っている桜の木に歩いていった。



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