Dearest 1st 〜Dream〜
「……ううん…」
彩はそのまま、ずっと俺の頬を冷やし続けてくれていた。
「腕ダルいやろ?
もうえぇで?」
押さえ過ぎて腕がだるくて仕方ないに違いない。
……なのに……
彩はそれでも首を横に振った。
「──大丈夫。
こんな事しか出来ないけど……」
──それから彩は何回も何回もハンカチを濡らして冷やし続けてくれた。
俺は単純にその優しさが嬉しくてたまらなかった。
“冷やす”という物理行為よりも、彩の小さな手の温もりの方が傷が癒える気がした。
──…きっと、この子は芯が強い子に違いないと思う。
「彩、家この辺なん?
遅いから送っていくわ。」
──…だいぶ時間が経った頃。
俺は時計を気にしながらそう口にした。
「ありがと…。
朝岡さんは家この辺?」
「うん、実家はこの辺。
わりと彩と家近いかもなぁ。」
「一人暮らししてるの?」
「してるよ♪
大学遠いから。
今日は偶然こっち帰って来ててん。」
「そうなんだ…
じゃあ今日は本当に偶然だったんだね…」
「良かったよな。
すっげぇ彩の顔好みやから、殴られたりしたら俺めっちゃヘコむ。」
────…あ。
つい口が滑って本音が零れ落ちた。
背後で彩の足が止まる。
…………。
ヤバい…
……バレたか?
「もーそんな事言ったって何にも出ないよ?」
……バレてはないか。
でも冗談でも流されたくない俺は──…
「………え?
いや初めて会った時にも言わんかった?
──“俺の好み”って。」
彩は俺の言葉を聞くと、
またピタリと動きが止まってしまった。
素直なリアクションに、頬が緩む。
……可愛い過ぎる。