ドブみたいな色の
来た道を引き返す。

見たくなかった。
それに、私が蓮人くんを好きだったって、今まで気付かなかったから、少し考える時間が欲しかった。
家に帰り着いたら、親と話す時間もあって、自分の考えがまとまらない。

ちょっと寄り道をしよう。

目の奥が熱くて、喉が締め付けられる。

あの女子って、蓮人くんのカノジョだよね?
蓮人くんって、カノジョがいたのに昨日は私と帰ったの?
それとも、今日カノジョができたの?

わからない。

勝手に涙が流れる。

なんで私じゃないんだろう?
なんでじゃないよ。
私がダメだったから、蓮人くんはあの女子を選んだんでしょ。
私はそもそも、恋愛のれの字も、さっきまでは言葉としてしか知らなかったんだから。
いや、恋愛を知ってるか知らないかだなんて、関係ないじゃん。

蓮人くんと女子が手を繋いている光景が、何度も何度も再生される。

忘れたいのに……
忘れさせてよ。
なんで勝手に思い出しちゃうの?
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