ドブみたいな色の
蓮人くんと喋りながら帰ってたら、なんか創作意欲が湧いた。
いい刺激を貰ったんだと思う。

先生から出されたテーマで、私は友達と一緒にいる時の感情を表現しよう。
翌日の放課後、私はすぐに美術室に向かった。

クロッキー帳に何をどうやって表現するか、大まかな絵を描いていく。

感情っていろいろあるから、いろんな色を使いたいなぁ。
だからといって、あまりゴチャゴチャさせたくない。

筆が乗った。
描いていて楽しかった。
コンクール用の作品は描くのにすっごく時間がかかっていたのに、これはすぐに完成しそうってくらい。

やっぱり、絵を描くのって楽しい!

この日の部活の時間も終わって、片付けをしてから家に帰る。


「……あ、蓮人くんだ」


家の近くで、蓮人くんを見かけた。

ご近所さんだから、そりゃあタイミングが良ければ会えるか。
コンクールの作品展示期間って、蓮人くんは知ってたっけ?
一応、伝えておこうかな?


「蓮人く……ん?」


蓮人くんの名前を呼びながら近付こうと思ったけれど、蓮人くんは知らない女子と一緒にいた。
しかも、手を繋いでいる。

血の気が引いた。
少し目眩もした。
今、ショックを受けているんだ、私……
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