ドブみたいな色の
作品は数日かけて完成した。
完成までの日数は少なかったし、美術部員の中で一番早く完成させたのは私だった。

乾かすために、邪魔にならない所に作品を移動させる。


「あれ?のえちゃん、もうできたの?」


部長が、目を見開いて私を見た。


「早いね!?」

「はい、完成しました。今乾かしてます」

「えー、そうなの?後で見てもいい?」

「どうぞ」


私はトイレに行きたかったので、部長に短く返してから美術室を出た。
一番近いトイレに行って用を足し、手を洗ってから美術室に戻る。


「うわぁ……すごいね」

「色数多いなぁ」


あ、私の作品を見てるっぽい。


「ドリンクバーで全種類混ぜたみたいな色してる……」

「あ!既視感それだ!」


盛り上がっているなぁ。


「ドリンクバーっ!」


同級生の子が手を叩いて笑っている。


「それ、ドブみたいな色ってことじゃんっ!」


は?
はっ……?

頭を殴られたような衝撃だった。
音が遠ざかる。

ドブ?
ドブ、みたい?
私の作った作品、ドブみたいな色してる?
そんなつもりで作ったんじゃない。
色がいびつに混じっているけど、でもっ……
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